高 原 町 の 昆 虫 3

           

九州には愛知県にはおらず九州独特の昆虫も多く、楽しみです。
ただし、昆虫は種類が多く調べるのが大変です。小さい昆虫は調べていません。

2006年〜2007年掲載分

ダイコクコガネ:
 今年の8月に皇子原温泉で灯火採集をしたときにに灯火に飛んで来ました。大きさは3センチ近くもあり、小さいカブトムシかと思うような大きさです。しかもこの大きくりっぱな角はどうです。とても感動しました。
 このダイコクコガネはファーブル昆虫記でよく知られているスカラベの仲間です。つまり糞虫です。この大きさから大型哺乳動物の糞で子供を育てます。牛の放牧が少なくなり、宮崎県では準絶滅危惧種になっています。(2007.12.15)










マイマイカブリの幼虫:
 朝、勝手口のところでカタツムリに首を突っ込んで食べているマイマイカブリの幼虫に遭遇しました。この辺りにはマイマイカブリとコマイマイカブリが居り、この幼虫がどちらのものかは判りません。(2007.11.15)














ジガバチ:
9月の中旬に庭でシャクトリムシを運んでいるジガバチに会いました。この蜂が跨って運んでいるのは木の切れ端ではなくてシャクトリムシの幼虫です。地中に穴を掘ってこの麻酔をかけたシャクトリムシに卵を産み付け穴の入口をふさぎます。直に幼虫が孵化し、このシャクトリムシを食べて大きくなります。
 庭にはジガバチばかりではなく、クモやバッタ類を狩るベッコウバチもよく見かけますが、獲物を運んでいる写真がなかなか撮れません。(2007.10.15)









ヒグラシに寄生虫:
 8月3日に我家の玄関灯に歩いてやってきたヒグラシの背中に白蝋化した虫がついていました。牙のような口でしっかり背中に食らいついています。蛾などの幼虫の背中に蜂の幼虫が食らい着いているのを見たことがありますが、セミに寄生虫がついているのを見たのは初めてです。
 知多自然観察会の水野先生に問い合わせましたら、「セミヤドリガ」の幼虫であるとのことでした。
 蜂やハエの幼虫が他の昆虫に寄生するのは知っていましたが、蛾にも他の昆虫に寄生するものがあるとは驚きです。(2007.9.15)












ルリモンホソバ:
 開帳約 5cmほどの蛾です。こちらに引越してきた2004年にえびの市の白鳥温泉の更衣室で拾いましたが、その頃私が持っていた蛾類図鑑には載っておらず、この蛾の同定には名古屋の水野先生や宮崎昆虫同好会の人々の手を煩わせました。私の持っている図鑑に載っていない昆虫がこの地方には居ると、その後、高い図鑑を買うきっかけになりました。
 今年、2007年7月初旬、我家の玄関灯にやってきました。図鑑によれば九州南部に棲息と書いてありました。迷蛾なのか、この辺りで発生するのかわかりません。(2007.8.15)







リュウキュウベニイトトンボ:
 愛知県からこちらに来た頃はベニイトトンボと思い込んでいました。しかし、ベニイトトンボより赤い色が少し薄いように思ってよく調べたらリュウキュウベニイトトンボでした。この写真でも判るかと思いますが、目が緑色なのもその特色のひとつです。今のところ高原町ではこのリュウキュウベニイトトンボしかいないようです。(2007.7.15)













ゲンジボタルの光跡の写真:町のホタル水路の北にある水路。狭い場所に100頭ほど乱舞していました。

ゲンジボタル:
 今年は春先に冷えた日があったせいかホタルの発生のピークが2週間ほど遅れました。発生数も全体に昨年より少なかったです。
 高原町全部を調べたわけではありませんが、ゲンジボタルがあちこちの水路で4、5匹から10 匹程度で発生しています。
 ヘイケボタルは昨年まではゲンジボタルより2週間ほど遅れて発生するのが今年はほぼ同じ時期に発生しています。
沢山発生した場所は下記の通りです。
祓川湧水の下部      144 頭   5月31日
ホタル水路          182 頭  6月 4日
ホタル水路北の水路    100 頭  6月 8日


ゲンジボタルのサナギの写真:
5月5日に祓川湧水の近くで幼虫の写真を撮ろうと、自宅に持ち帰りましたが、直ぐにサナギになってしまいました。
6月4日にサナギの土繭を壊して写真を撮りました。ご覧のようにサナギの体全体が光っています。
尚、このサナギはこの写真を撮った3日後に♀の成虫になりました。(2007.6.15)




ウマノオバチ:
 体長 21mm、産卵管 173mm。産卵管は体長の約 8.2倍です。図鑑では見たことがありましたが、実物は始めて見ました。採集した時は産卵管は1本に見えましたが、そのうちに3本に分かれてきました。生きている時はこの長い産卵管の先まで神経が行き届いていて、ハチの本体をフィルムケースに入れたら器用にこの長い産卵管をフィルムケースに入れてしまいました。死んで何日かすると右の写真のように産卵管がちじれてきます。(2007.5.15)






サツマシジミ:
 私の住んでいた愛知県の家の近くにはヤマトシジミ、ツバメシジミとルリシジミくらいしかいませんでしたので、こちらに来てもシジミの仲間はみなルリシジミかヤマトシジミに見えてきます。
 昨年、宮崎昆虫懇談話会会長の永井先生から御池にもサツマシジミがいることを教えていただきました。それからあわてて小さいシジミチョウを採ってみたら、以外にも御池の他にも高原町のあちこちでサツマシジミを見かけました。これは昨年清流ランドで採集したものです。その他にも広原地区にもいました。
 しかし、手持ちの図鑑には「本州(近畿〜東海地方に北上中)と書いてありました。今頃愛知県の家の周りを飛んでいるかもしれません。(2007.4.15)








フタツメカワゲラ属のカワゲラ:
 2月の中旬に清流ランドで捕まえてカワゲラです。全然種類が同定できませんので、宮崎県総合博物館の串間先生に同定をお願いしました。
フタツメカワゲラ属の一種だそうです。種までの同定は非常に困難ということでした。(2007.3.15)









  

       ムラカミカワゲラの幼虫                        ガガンボの幼虫

 岩瀬川の浅瀬で石をさばいていたらカワゲラの幼虫が出てきました。カワゲラはとても同定が難しく分かりにくいので宮崎県総合博物館の串間先生に同定をお願いしました。
 清流ランドの浅瀬では6センチほどもある大きなイモムシが出てきました。家に帰ってから調べたらガガンボの幼虫でした。あの痩せたガガンボの幼虫がこんなにまるまると太ったイモムシとは知りませんでした。
 流石にガガンボの種類までは分かりませんでした。(2007.2.15)


オキナワマエモンヒメクチバ:
 昨年末に宮田彬著「九重昆虫記」を宮崎県昆虫同好会会長の斡旋で購入しました。著者の宮田先生は大分医科大学名誉教授で特に九州の峨の専門家のようです。
 この本の中に迷峨、先生は偶産峨という表現を使われますが、要するにこの地方に生息せずに主に南方から飛んでくる峨のことを言うようです。
 この「九重昆虫記」には偶産峨の一覧表があり、私の昆虫採集の一覧表と照合したらこのオキナワマエモンヒメクチバがでてきました。何の変哲もない開帳 43mm ほどの小さな峨が宮崎県には棲息せずはるばる沖縄から飛んできて我家の玄関にまで来たことに驚きます。(2007.1.15)






ルリタテハの幼虫
 ルリタテハは庭にまれにしかやってはきません。アカタテハやキタテハよりも見る頻度が少ないです。しかもルリタテハはとてもすばしこいのでなかなか写真が取れません。10月末に庭のホトトギスの葉が虫に食われているので探してみたらルリタテハの幼虫がいました。(2006.12.15)










アサギマダラ:
 10月26日朝、庭のフジバカマにアサギマダラが止まっているのを発見。けっこう用心深いのであまり近づいて写真が撮れず苦労しました。春と秋に町内では何度か見たことがありますが、我家に来たのは初めてです。何度見てもきれいなチョウですね。
 フジバカマの蜜をたくさん吸って体力をつけ、、南西諸島や沖縄、台湾までも元気で旅行をして欲しいものです。(2006.11.15)












オオゴキブリ:
 地元の温泉に入っていたら「私も温泉に入りたい」とばかりに温泉の窓ガラスから浴槽を覗いていました。誠に大きい。体長約 4.5センチもあります。足には剛毛があり、まさにゴキブリの王様です。(2006.10.15)




















クツワムシ:
 8月1日、家の周りで今年初めて鳴き声をききましたが、その声がだんだん多くなり、8月の中旬には居間の外で5, 6匹が大合唱で、音量を上げないとテレビの声が聞き取れないくらいうるさいです。緑色型、褐色型と両方いました。
2004年は、家の周りにほとんどいませんでした。去年は1頭くらい鳴いていたのが、今年は大発生です。(2006.9.15)

アブラゼミ:
 2004年、愛知県からこちらに来てアブラゼミの声をあまり聞きませんでした。庭の木にもアブラゼミは来ませんでした。
 2005年はアブラゼミが庭の木で鳴くのを何回か聞きました。
 2006年はどこでも見ることができ、このように簡単に写真を撮ることができました。、
 しかし、この辺りではセミが朝早くから家の周りで激しく鳴くことはありません。そのせいか子供たちが網を持って蝉取りをしている姿を見たことがありません。
 蛇足ながらクマゼミは2004年にはその鳴声をまったく聞きませんでした。
 2005年は3回ほどクマゼミの声を聞きました。
 2006年は10回その鳴声を聞きました。しかし、その声は午前中に15秒から30秒間くらい鳴くだけです。(2006.9.15)

クロシデムシ:
 我家の玄関灯にやってきた4センチ程もある大きなクロシデムシ。動物の死肉に卵を産み付けるまがまがしい虫というイメージがあります。白土三平のマンガ「忍者武芸帳」によれば人が斬られても息があり、動けなくなればハエが来て卵を産みつけるが、完全に死ねばこのシデムシがやってきて卵を産みつけるそうです。このマンガからの知識が恐ろしい虫というイメージを私だけが持っているのかもしれません。(2006.8.15)










タイコウチ:
 タイコウチはカメムシ目タイコウチ科の昆虫です。今年はヘイケボタルを確認したので、ヘイケボタルの餌となる貝があるはずであろうと、ヘイケボタルの発生した付近の溝に行ってタモでその辺りをさばいていたらこのタイコウチが出てきました。私の体験では清流がどうどう流れているような所にはいないように思います。(2006.7.15)























ホタル:
 右からゲンジボタル、ヘイケボタル、左端ヒメボタル
 高原町にはゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルがいます。ゲンジボタルの発生が終わろうとする頃にヘイケボタルとヒメボタルが相前後して発生します。ヘイケボタルは小さい溝や田んぼの縁に発生しますが、高原町ではゲンジボタルとヘイケボタルが同じ川で発生する所もありました。
 ヒメボタルは林縁に発生します。尚、高原町には余り光らないホタルとしてオバボタルとクロマドボタルがいます。
(2006. 6.15)







ベニシジミ:
 シラネセンキュウに吸蜜にきたベニシジミ。愛知県にいたころ身近にいたシジミチョウがこのベニシジミ、ヤマトシジミ、ツバメシジミ、ルリシジミなどでした。ですからシジミチョウ類を見ても余り興味が湧きませんでしたが宮崎昆虫懇の永井会長にこのあたりではスギタニルリシジミ、サツマシジミ、ヤクシマシジミなどがいると言わました。そこであわててシジミチョウを調べてみました。写真は撮れませんでしたがスギタニルリシジミとサツマシジミは確認できました。







ジョウカイボン:
 春になるとジョウカイボンが非常に多いです。庭にも沢山やってきます。家の玄関灯にも毎夜の如くやってきます。


















ナベブタムシ:
 全長 8ミリ、背中の直径 5.5ミリ、厚さ 1.5ミリ。ナベブタムシとはよくつけたもので丸くて薄い体をヒラヒラさせながら休みなく水中を泳いでいます。広原の養魚池の下の水路で採集しました。清流に住むカメムシ目(半翅目)、ナベブタムシ科の昆虫です。
 トビケラやカワゲラの幼虫を捕食する、と図鑑にでています。
 また、尖った口で刺すことがあるので注意が必要とも書いてありました。しかし、何度も手で触りましたが刺されませんでした。
(2006.1.15)