高原町以外の自然 2

余り遠くに旅行することが多くないので主に近隣の市町村が中心になります。


2006年掲載分

えびの市飯野の大銀杏

      

飯野の大イチョウ
 
 左の看板にあるように根回り 9.6m もある大きなイチョウで枝が横に大きく広がって立派なイチョウで、黄葉も真っ盛りでとても綺麗でした。
 ここは江戸時代には地頭仮屋があったところで、えびの市になる前は飯野町の町役場でした。そして今はえびの市飯野支庁になっています。(2006.12.15)
 










日南市のキイレツチトリモチ

   

日南市のキイレツチトリモチ:
 キイレツチトリモチは一見キノコかツクシのように見えますが、ツチトリモチ科の植物で九州のネズミモチやトベラの根に寄生する寄生植物であり、葉があり、花の咲く種子植物です。頭の所に茶色のポツポツは花が終わった後です。白いポツポツが今咲いている花です。雑木林の中は落ち葉が積もっておりますが、落ち葉を取り除くとあちこちでこの写真のようなキイレツチトリモチを見ることが出来ます。左の写真のものが最も大きく、約6センチほどです。ほとんどが2、,3センチ程の小さなものです。
 11月5日、「小林おもしろ発見塾」の松本さんの案内で日南市のキイレツチトリモチ観察会に参加しました。日南市の平山海岸の浜崖の上の雑木林の中にありました。この雑木林の入口にはアカウミガメの上陸地の看板があり、そこから急な浜崖を下って行くと太平洋の波がドドーン、ドドーンと押し寄せており、沖合いには若者たちがサーフィンを楽しむ姿が見られました。
 キイレツチトリモチのキイレとは最初の発見地、現、鹿児島市の喜入町に由来するそうです。(2006.11.15)

南郷町のキオビエダシャク


キオビエダシャク:
 翅が破れているので分かりずらいですが、開帳6センチ程の綺麗なガです。南郷町の亜熱帯植物園の駐車場のランタナの花に6頭もいました。昼飛性のガで、知らない人が見れば蝶と思うでしょう。
 図鑑によれば「奄美大島以南、沖縄や先島諸島に分布する。九州南部(宮崎、鹿児島両県の南部)で発生することがあるが永続的でない。」とあります。
 しかし、宮崎昆虫同好会の2004年版会報「タテハモドキ」によれば「…最近、鹿児島県ではこのところ多発しているが、これに伴う宮崎での記録はなかった。今年(2004)になって、宮崎県の南部で次のような採集例があるので報告しておく。宮崎では50年前の1955年6〜11月にかけて小林市、高原町御池、えびの市飯野駅で合計14頭が採集されているが、それ以後の報告は全くなかった。…」。50年前と異なり、宮崎県南部にどうも定着しだしたようです。(2006.11.15)

小林市のオオヨドカワゴロモ


 

小林市のオオヨドカワゴロモ:
 9月24日(日)、「小林おもしろ発見塾」の人達の案内でオオヨドカワゴロモの観察会に参加しました。
 上段右の写真は岩に付着したオオヨドカワゴロモを上から見たもので、岩が黒く見えるところがオオヨドカワゴロモが付着している所です。
 左の写真はオオヨドイワゴロモを少し取ったものです。手で触ってみると乾燥したキクラゲのような感じのものです。
 カワゴロモの仲間は日本では現在、カワゴロモ、ウスカワゴロモ、ヤクシマカワゴロモの3種類しかなく「日本水草図鑑」によれば「鹿児島県大隈半島と宮崎県大淀川に分布。大淀川のカワゴロモは子房が扁平であることと胚珠数が多いことから別種(オオヨドカワゴロモ)の可能性があると考えられているが、研究は進んでいない。」と記載されていました。
 いずれにしても大層珍しいものです。図鑑には大淀川と書いてありましたが、正確には大淀川の支流、岩瀬川です。(2006.10.15)



海岸植物群落調査

    

             コオニユリの群落                        ハマゴウの花

   

           ハマユウの群落                            ネコノシタ

 7月14日に川南町の3回目の植物群落調査に行ってきました。初夏とはいえ南国の太陽光は厳しさがありました。
ハマゴウの花の中に海岸に多いコオニユリの群落がありました。ハマゴウは外来植物で除去すべきもののようですが、地下茎を伸ばして繁殖し、ここの海岸では非常に多いです。このハマゴウを踏んで行くと葉からはハーブのようなよい香りが一面に広がります。(2006.8.15)

瀬 田 尾 道 ( 小 林 市 )

   

        キリシマグミ                             キリシマテンナンショウ

   

       ミヤマキリシマの群生地                   炭化木

 6月4日、国土交通省主催の「砂防探検隊」に参加しました。鹿児島県牧園町にある高千穂河原から高原町まで歩いて自然観察をしました。この道は人が一人通れる位のハイキングに丁度よい道で、歩いてみるとそのようには思えませんが、江戸時代には既に宮崎県から鹿児島県に抜けるための重要な生活道路だったそうです。一部に杉の並木道も残っていました。高千穂河原の直ぐ裏から既に小林市だそうで、道の途中からは高原町になります。高千穂河原から10分もするとミヤマキリシマの群生地に着きます。花の時期は既に過ぎていましたが流石に素晴らしい景色でした。
 この辺りはキリシマグミやキリシマテンナンショウなどというこの辺り特有な植物が生えています。
 炭化木というのは1716年に新燃岳の大噴火のさいに出た大量の火砕流に埋もれてしまい、生えたまま炭になってしまった木です。長い年月をかけて表土が雨水に流されこのように地表に現れたのです。(2006.7.15)

川南町の海岸植物群落調査

  

    ハマボウフウの花                              大きな石がゴロゴロ

  

          伊倉浜公園の前の海岸                     伊倉浜公園にある看板

 4月に引き続いて6月9日に海岸植物群落の調査に出かけました。先回と同様に新富町の古田さんに道案内と調査の協力をお願いしました。先回やり残した分と川南漁港の北側から平田川(へたがわ)河口まで調査をしました。
 ハマヒルガオの花やハマボウフウの花が咲いていましたが、ハマダイコンやハマエンドウはもう咲いていませんでした。狭い範囲ですが、平田川付近の伊倉浜公園の前だけは大きな石がなく綺麗な砂浜があり、ウミガメの上陸地になっているようです。ここではサーフィンをする若者たちを見ました。

高鍋町の海岸植物群落調査

       

海岸線:昨年の台風の流木が一杯でした。                        ハマエンドウ

昨年の秋に自然保護協会の講習会を受け、春になってようやく4月12日に調査に出かけました。高原町から車で、2時間近くもかかる遠い所です。高鍋町から川南町にかけての7.5Kmの海岸の植物調査です。海岸にでる道がけっこう複雑で地元の人でないとよく判りませんが、新富町の古田さんの協力で半日かけてその三分の一ほどが終わりました。海岸線はほとんど直線に延びていて、愛知県では見られない景色です。
 浜崖にはハマダイコン、ハマヒルガオなどが咲いていました。(2006.5.15)








        ハマヒルガオ





綾 の 照 葉 樹 林

   

         綾の山桜                            照葉樹林の散策道

 3月28日、綾町の照葉樹林を訪ねたみました。照葉樹林の稜線近くは山桜が一面に咲いていてとても綺麗でした。
綾の照葉樹林は特に県外では有名ですが県内ではさほど知られていないように感じました。田舎の人にとって単なる雑木林なのでしょう。
 駐車場から直ぐのところに入口があり入場料を300円取られたのには驚きました。これは入口直ぐの本庄川にかかる「綾の照葉大吊橋」の通行料のようでした。この橋は近年作られた鋼鉄製のもので勿論人間しか渡れない長くて狭いものです。多くの人がこの橋を往復してスリルを味わって帰ってしまうようです。
 ここの遊歩道は本庄川の対岸に道をつけて散策出来るようにしたものです。本庄川に流れ込む小さい谷がいくつかあり、散歩道に変化があり歩くのに楽しくなります。
 照葉樹はクス、タブ、バリバリノキ、タイミンタチバナ、カゴノキ、ツバキ、カシ類、イヌガシ、シロダモ、ヤブニッケイなどの大きな木が生い茂っていました。
 この遊歩道だけが綾の照葉樹林ではなく、もっと広い範囲が照葉樹林であろうと思いますが、この遊歩道を歩いて感じたことは、これに近い照葉樹林は高原町にもあるということです。例えば御池周辺は照葉樹林がありますし、御池から小池に行く道は照葉樹林が続いています。勿論、景観のよさはかなわないかもしれませんが。(2006.4.15)

  

       下の吊橋から照葉大吊橋を見上げる                 ヘビノボラズの群生地


八 重 山 諸 島

 三月初旬、八重山諸島に行ってきました。明らかに本土とは異なる自然ばかりでした。植物も昆虫もこのあたりには無い物ばかりで大いに感動をしました。

   

       

          マングローブ林                             シジミ?

 石垣島のマングローブ林とその水溜りにいた地元の人が言うシジミです。汽水域に生息するらしいのですがなんというシジミかわかりません。知っている人教えて下さい。側にある50円と比較してみてください。その大きさが判ります。西表島では大人の握りこぶしより大きいくらいのを船頭さんにみせてもらいました。

 

 オオゴマダラ:
八重山諸島には昆虫が非常に多いです。特に西表島はそのほとんどがイリオモテヤマネコの保護区になっているため蝶が多いように思えました。八重山諸島はどこでもオオゴマダラのほかにベニモンアゲハ、スジグロカバマダラ、シロオビアゲハ、リュウキュウアサギマダラ、アサギマダラ、などがたくさん飛んでいました。




    

            アダン                                ハマボウ

       テンノウメ                                 イリオモテアザミ

 植物も珍しいものが多く、街路樹にはフクギ、モモタマナなどが多く用いられています。両方とも肉厚な照葉樹です。モモタマナが紅葉して落葉していました。南方は肉厚な照葉樹が多いように感じました。どこにでも生えているのはアダンです。海岸近くにはハマボウの花が一輪だけ咲いていました。東平安名岬(あがりへんなざき)のバス駐車場から灯台までの500mくらいにはお花畑のようです。しかし花の時期には少し早かったようでした。ヤシャビシャクの別名のテンノウメではないバスガイドさんが言うテンノウメの花が咲き出していました。その他にはイリオモテアザミ、ハマボッス、ハマウド、テッポウユリ、ミツバコマツナギなどが咲いていました。(2006.3.15)





小林市の出の山ホタル群生地

      

     出の山の養魚池                             ホタルの発生する水路

 隣町、小林市の出の山(いでのやま)湧水は日本の100名泉に選ばれています。その水を蓄えて造られている池ではコイやチョウザメなどの養殖池となっています。
 養魚池から流れ出る水路は幅3〜4mで長さは約 300m 位しかありません。しかしこの水路で最高 1万匹を越すゲンジボタルが発生したのです。最近は少なく、それでも3000匹くらいも発生します。

      

     残雪の中でホタルの幼虫の棲息調査                    ゲンジボタルの幼虫

 06年発生数推計の為のホタルの幼虫の棲息調査:
 12月23日、前日までに降った雪の残った水路の土手でゲンジボタルの幼虫の棲息調査に参加させていただきました。この水路の上流、中流、下流の三ヶ所を淵、早瀬、平瀬の3ヶ所、計9ヶ所を調査しました。水路は南側が山になっていますので陽が当たらない寒い中、朝9時から午後3時まで行われました。
 水路内の土を約35センチ四方、厚さ約5cmを取ってその中の生物調査をします。ゲンジボタルの幼虫は勿論のこと全ての生物の調査をします。餌のシジミとホタルの幼虫に食べられたシジミの殻の数も数えます。その他にはトビケラやカゲロウの幼虫やサワガニ、トンボのヤゴなども数えます。
 ここのゲンジボタルの幼虫はカワニナではなくシジミを食べて大きくなります。孵化したてのホタルの幼虫はコモチカワツボという3mmほどの小さい貝を食べ、少し大きくなるとシジミを食べているようです。養魚池から出る水には養魚の排泄物が含まれるせいかシジミが大量に発生します。35センチ四方で百を越えるシジミが棲息しています。餌の豊富さがホタルの大量発生を支えています。
 カワニナではなくシジミだけで発生するゲンジボタルは日本中でここだけではないでしょうか。(2006.1.15)

  調査の生き物、上段左と中央ががシジミです